佐賀大学ダイバーシティ推進室
室長 城戸 瑞穂

 「リケジョ」 理系の選択をした女性を指すこの言葉、聞いたことはあるでしょうか。皆様の身近にもおられる数学や理科、家庭科の学校の先生や、健診や病気の時に会う看護師さんや保健師さん、お医者さんや歯医者さん、は理系選択に分類されるでしょう。それぞれの職場で活き活きと活躍されている姿が目に浮かぶでしょうか。
小さい頃は、不思議に思ったら、なぜ?どうして?と周りに聞いていた皆さんも大きくなると自分で調べ、先人の発見に心が躍ったり、実験してみて予想と違う結果が出たりして、ワクワクする気持ちになることもたくさんあると思います。その中から一生取り組む仕事にしてみようかなと考える人もいらっしゃるでしょうか。ぜひ、その気持ちを宝物にして、自然な気持ちで進路を選択してみませんか。 

現在は高校一年生で文系・理系を選択をすることが多いと聞いています。高校の先生や保護者と進路の相談する中で、女の子だから、とか結婚、子育てなどの言葉も出て、将来に不安を感じることもあるのかもしれません。数学や物理、化学あるいは工学系などでは女性の姿は少なく、男女で仕事の選択にも別があるとの考えをお持ちの方もあるかもしれません。でも文理の選択は入学試験のための一時的なものと考えることもできます。なぜなら、どのような職種でも、日本語を母国語とする人にとっては、国語は物事を理解する基本となる最も大切なものですし、英語はグローバル社会の中で情報を収集し交換するための重要なツールです。お料理をするのも、お洗濯をするのも科学的なものの考え方を使わない日はありません。社会も理科も数学も部活動も、全て役に立つ、みなさんの宝物になるものです。勉強だけに取り組むことができる貴重な時期にしっかりと力をつけてください。

これまではどちらかというと男性ばかりが技術や製品の開発を行ってきた会社が多かったのですが、いま、工学系などこれまで女性が少なかった学部を卒業したリケジョは数多の会社から引っ張りだこです。なぜなら最近の調査では、性別や人種など多様な背景の人が参加し研究や開発に異なった視点が加わることで新たな成果が得られ、より多くの人の役に立つ、あるいは経済効果が高いものが実現されることが次々とわかってきているからです。さらに、育児や介護などを担う男性も増え、皆が家庭での役割を担いながら仕事を続けていける仕組みづくりも整いつつあります。そして、責任ある職位に付いている女性も増えてきています。

こうした支援が行われている背景には、少子化や高齢化など、私たちが直面している課題にもかかわらず日本の社会を持続可能なものにするため、という観点もあります。けれども、それにも増して、私たちがお伝えしたいのは、とても広い意味で科学は人生をかけて取り組む価値のある、楽しくてワクワクする素敵なものだからです。

毎日の暮らしの中では、自分や家族が病気になったり、育児や介護を担うこともあります。そうした経験を積み重ね、泣いたり笑ったりしながら新しい考え方を身につけることが人生を豊かにします。さらに、その過程で課題に気がついたり、新しい方法を思いついたり、と質の高い仕事にも繋がることを私たちも身を以て体験をしています。皆さんもぜひ一緒にやってみませんか。

若い人が迷っているときに1歩踏み出してみようと思うことができるのには、保護者や指導者など多くの皆様の温かいご理解やご支援が必要です。世の中が大きく変化しているいま、これまでの考え方で必ずしもうまくいくとは限りません。多様な考え方を受け入れながら皆様と共に進めて参りたいと存じます。

みなさんとお会いできる日を楽しみにしています。

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