報告日2019年1月31日

佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センターで「ようこそ!SAGAアグリガールの世界へ!」を実施しました

開催日2018年11月10日(土) 場所佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センター 唐津キャンパス

 2018年11月10日(土)に、リケジョプラットホームin SAGAの一環として、佐賀県唐津市に在住する中高生(佐賀県立唐津東高等学校、佐賀県立唐津南高等学校)を対象に、「ようこそ!SAGAアグリガールの世界へ!」が実施されました。この企画は佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センター唐津キャンパス大学開放と同時開催で行われ、理系の魅力と同時に、唐津キャンパスについて知ってもらうことを目的としています。
『SAGAアグリガール』という名称は、当室副室長が付けました。農学の分野は「食糧」、「生命」「環境」、「情報」、「エネルギー」と多岐に渡ります。日本有数の食糧生産基地である佐賀の地から、農学の発展に寄与できる女性をもっと増やしたい。そんな熱い思いが込められています。


 今回は、女子中学生2名、女子高校生21名の合計23名、佐賀大学より教員5名、TAとして女子大学生・大学院生、合計3名が参加しました。


 まず、農学部附属アグリ創生教育研究センター副センター長の渡邉啓一教授より、「農学に課せられた課題~~アグリ創生教育研究センターについて~」の講義が行われました。センターはジャパンコスメティックセンター(JCC)との共同研究を進めており、植物や石油などの天然資源を用いた化粧品や医療品の開発を行っています。そこに女性の視点は不可欠であり、ぜひ興味を持ってほしい分野であるとご紹介頂きました。また、佐賀出身で、日本で初めての女性理学博士である黒田チカについて紹介され、今後も黒田チカに続くような、優秀な女性研究者が佐賀から輩出されることを願っている、というお話がありました。
その後、ダイバーシティ推進室の荒木副室長による「ダイバーシティ入門講義」がありました。これからの『リケジョ』には、学校の数学や理科系科目が得意なことは絶対不可欠な条件ではなく、「世の中に興味を持って新しいものを創り出そうとする」意識ではないかという話がありました。

次に、3グループにわかれ、実験体験会を行いました。
「伝統植物ムラサキから薬用色素を抽出しよう」では渡邉教授のもと、色素の抽出を行いました。冠位十二階の最高位に用いられる色であり日本古来より高貴な色とされてきた紫色は今回用いた絶滅危惧種のニホンムラサキに由来します。実験では実際に、唐津キャンパスで栽培されたニホンムラサキの根を用いて、アルコールを溶媒として用い、抽出を行いました。
「DNAを抽出してみよう」では川添嘉徳特任准教授のもと、すり鉢・すりこぎ・コーヒーフィルター・洗剤・食塩等を 用いて太さ約0.2nm (0.0000002 mm)のブロッコリーのDNAを抽出しました。
「天然素材を利用した石鹸をつくってみよう」では川口真一特任助教のもと、オリーブオイルを原料にした石鹸作りを行いました。食用にも用いられるオリーブオイルをアルカリで反応させて鹸化させる実験を行いました。実験で作った石鹸は各自持ち帰ってもらい利用してもらえます。固まるのに時間がかかるので完成が楽しみですね。
いずれの実験も教員と佐賀大学の女子学生の指導の下で、和気あいあいと行われました。実験の合間にはジャパンコスメティックセンターの開発室の公開や蒸留器のデモストレーションなども執り行われました。

次に、農学部の大学生、大学院生による講話がありました。大学生の古賀さんは、高校時代理系科目が好きだったので迷うことなく理系を選択しました。その後の進路を考えていた矢先に大学の説明会に行き、「農学部=農業」というイメージが払しょくされ、環境問題に関わることがしたいと農学部に進学しました。この経験より、積極的な情報収集が必要だという話がありました。大学院生の黒木さん・野口さんは、現在創薬、乳化剤の研究をされています。大学院進学の利点として、専門分野がより深く学べることをあげ、研究職に就くと修士以上が求められるという現状の紹介がありました。最後には、農学部研究員の龍田先生も参加し、座談会を行いました。「大学」「農学」「研究」「理系」のいずれかから、最初の印象と今日の取組後の印象の変化を話し合ってもらい、皆の前で発表してもらいました。
「大学って、忙しいと思ってたけど、自由な時間があるんだと分かった」
「農学って、専門的なことばかりと思っていたけど、幅が広いと分かった」
「研究って 固くて専門的で難しいテレビの中だけのものだと思ってたけど、 楽しそうで、女の人が多くて挑戦しやすそうで、身近ないろんなものが関連している とわかった」
と、様々な意見が出されました。

ご参加いただいた中学生の皆さん、また、ご協力・ご共催いただきました、佐賀県立唐津東中学校・高等学校、佐賀県立唐津南高等学校の先生方に心より御礼申し上げます。

このプログラムは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの受託事業「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」の助成を受けて実施しています。佐賀大学は、中高大接続の一環として、女子中高生の科学・ものづくりへの興味を促し、自分自身のキャリアデザインを考える場を提供していく「リケジョプラットホームin SAGA」を展開していきます。